法の適用に関する通則法   略称 通則法 ハイパーリンク法律情報Web
 

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公布   平成18年6月21日法律第78号
        
平成18年9月8日政令第289号により施行日は平成19年1月1日  
最終改正
 



「法の適用に関する通則法」と「法例」の対照条文 
 




法例(明治31年法律第10号)の全部を改正する。          
目次

 第1章 総則(第1条)
 第2章 法律に関する通則(第2条・第3条)
 第3章 準拠法に関する通則
  第1節 人(第4条―第6条)
  第2節 法律行為(第7条―第12条)
  第3節 物権等(第13条)
  第4節 債権(第14条―第23条)
  第5節 親族(第24条―第35条)
  第6節 相続(第36条・第37条)
  第7節 補則(第38条―第43条)
 附則

 

裁判所関係通知
H18 07/03最一2576通知=法の適用に関する通則法の公布等について(概要)
法務省公開情報

平成18年6月29日公開  法の適用に関する通則法の概要

   第1章 総則

第1条(趣旨) この法律は、法の適用に関する通則について定めるものとする。

 



   第2章 法律に関する通則 

第2条(法律の施行期日) 法律は、公布の日から起算して20日を経過した日から施行する。ただし、法律でこれと異なる施行期日を定めたときは、その定めによる。

民法 第139条(期間の起算) 第140条(期間の初日不算入)

 


第3条(法律と同一の効力を有する慣習) 公の秩序又は善良の風俗に反しない慣習は、法令の規定により認められたもの又は法令に規定されていない事項に関するものに限り、法律と同一の効力を有する。

 

民法 第90条(公序良俗) 第91条(任意規定と異なる意思表示) 第92条(任意規定と異なる慣習)
商法 第1条(趣旨等)


   第3章 準拠法に関する通則

    第1節 人 

第4条(人の行為能力) 人の行為能力は、その本国法によって定める。
 法律行為をした者がその本国法によれば行為能力の制限を受けた者となるときであっても行為地法によれば行為能力者となるべきときは、当該法律行為の当時そのすべての当事者が法を同じくする地に在った場合に限り、当該法律行為をした者は、前項の規定にかかわらず、行為能力者とみなす。
 前項の規定は、親族法又は相続法の規定によるべき法律行為及び行為地と法を異にする地に在る不動産に関する法律行為については、適用しない。
 

法律案要綱 人の行為能力

法の通則法 第5条(後見開始の審判等) 第24条(婚姻の成立及び方式) 第26条(夫婦財産制) 第29条(嫡出でない子の親子関係の成立) 第31条(養子縁組) 第36条(相続) 第38条(本国法) 第40条(人的に法を異にする国又は地の法) 第41条(反致)
民法 第5条(未成年者の法律行為) 第9条(成年被後見人の法律行為) 第13条(保佐人の同意を要する行為等)

民事訴訟 第31条(未成年者及び成年被後見人の訴訟能力)  第33条(外国人の訴訟能力の特則)
手形法 第88条(手形行為能力と準拠法)
小切手法 第76条(小切手為能力と準拠法)
関係判例

最高裁S50 07/15判決2=ニューヨーク州法準拠の会社の発起人が第三者と締結した契約上の権利義務関係の準拠法
東京高H18 10/30決定=中国人親子の扶養料の支払いの前提となる成年時期に関する中国通則法143条に基く反致
東京高S33 07/09判決=人の能力はその本国法によって定めるべきであり、未成年者は本国法で監護権者を要する


第5条(後見開始の審判等) 裁判所は、成年被後見人、被保佐人又は被補助人となるべき者が日本に住所若しくは居所を有するとき又は日本の国籍を有するときは、日本法により、後見開始、保佐開始又は補助開始の審判(以下「後見開始の審判等」と総称する。)をすることができる。

法律案要綱 後見開始の審判等の国際裁判管轄及び準拠法
法の通則法 第4条(人の行為能力)
民法  第7条(後見開始の審判) 第8条(成年被後見人及び成年後見人) 第11条(保佐開始の審判) 第15条(補助開始の審判)
家事手続 成年後見に関する審判事件 保佐に関する審判事件 補助に関する審判事件

 


第6条(失踪の宣告) 裁判所は、不在者が生存していたと認められる最後の時点において、不在者が日本に住所を有していたとき又は日本の国籍を有していたときは、日本法により、失踪の宣告をすることができる。
 前項に規定する場合に該当しないときであっても、裁判所は、不在者の財産が日本に在るときはその財産についてのみ、不在者に関する法律関係が日本法によるべきときその他法律関係の性質、当事者の住所又は国籍その他の事情に照らして日本に関係があるときはその法律関係についてのみ、日本法により、失踪の宣告をすることができる。


法律案要綱 失踪の宣告の国際裁判管轄及び準拠法
法の通則法 第36条(相続)
民法  第30条(失踪の宣告) 第31条(失踪の宣告の効力) 第32条(失踪の宣告の取消し)

家事手続 第148条(失踪の宣告の審判事件) 
関係先例
H31 01/30民一0116回答=通則法6条1項の解釈によるブラジルの裁判所のした失踪宣告による戸籍法94条の届出

 


    第2節 法律行為 

第7条(当事者による準拠法の選択) 法律行為の成立及び効力は、当事者が当該法律行為の当時に選択した地の法による。

法の通則法 第10条(法律行為の方式) 第13条(物権及びその他の登記をすべき権利) 
手形法 第90条(手形行為の効力に関する準拠法)
小切手法 第79条(小切手行為の効力に関する準拠法)
独占禁止 第6条(特定の国際的協定又は契約の禁止)
関係判例 

最高裁H18 10/17判決=外国の特許を受ける権利の譲渡に伴って譲渡人が譲受人に対しその対価を請求する問題
最高裁H09 09/04判決=国際仲裁契約の成立及び効力の準拠法でニューヨーク市で適用される法律とされた事案
最高裁S56 10/16判決=日本国内に営業所を有する外国法人に対する損害賠償請求訴訟では日本の裁判権が及ぶ
最高裁S53 04/20判決=定期預金証書を担保とする債権質に適用すべき準拠法はその目的である債権の準拠法による
最高裁S50 11/28判決=船荷証券に基づく国際的専属的裁判管轄の合意における公序
 

第8条(当事者による準拠法の選択がない場合) 前条の規定による選択がないときは、法律行為の成立及び効力は、当該法律行為の当時において当該法律行為に最も密接な関係がある地の法による。
 前項の場合において、法律行為において特徴的な給付を当事者の一方のみが行うものであるときは、その給付を行う当事者の常居所地法(その当事者が当該法律行為に関係する事業所を有する場合にあっては当該事業所の所在地の法、その当事者が当該法律行為に関係する 2以上の事業所で法を異にする地に所在するものを有する場合にあってはその主たる事業所の所在地の法)を当該法律行為に最も密接な関係がある地の法と推定する。
 第1項の場合において、不動産を目的物とする法律行為については、前項の規定にかかわらず、その不動産の所在地法を当該法律行為に最も密接な関係がある地の法と推定する。

法律案要綱 法律行為の準拠法 当事者による準拠法の選択がない場合
法の通則法 第7条(当事者による準拠法の選択)
民法  第177条(不動産に関する物権の変動の対抗要件)


 

第9条(当事者による準拠法の変更) 当事者は、法律行為の成立及び効力について適用すべき法を変更することができる。ただし、第三者の権利を害することとなるときは、その変更をその第三者に対抗することができない。

法律案要綱 法律行為の準拠法 当事者による準拠法の変更
法の通則法 第7条(当事者による準拠法の選択)
手形法 第89条(行為の方式に関する準拠法)
小切手法 第78条(行為の方式に関する準拠法)
 

第10条(法律行為の方式) 法律行為の方式は、当該法律行為の成立について適用すべき法(当該法律行為の後に前条の規定による変更がされた場合にあっては、その変更前の法)による。
 前項の規定にかかわらず、行為地法に適合する方式は、有効とする。
 法を異にする地に在る者に対してされた意思表示については、前項の規定の適用に当たっては、その通知を発した地を行為地とみなす。
 法を異にする地に在る者の間で締結された契約の方式については、前2項の規定は、適用しない。この場合においては、第一項の規定にかかわらず、申込みの通知を発した地の法又は承諾の通知を発した地の法のいずれかに適合する契約の方式は、有効とする。
 前3項の規定は、動産又は不動産に関する物権及びその他の登記をすべき権利を設定し又は処分する法律行為の方式については、適用しない。

法律案要綱 法律行為の準拠法 法律行為の方式の準拠法
法の通則法 第7条(当事者による準拠法の選択) 第10条(法律行為の方式)
関係判例

最高裁S53 04/20判決=定期預金証書を担保とする債権質に適用すべき準拠法はその目的である債権の準拠法による
横浜家H08 07/03審判=特別永住者の外国人登録における名の変更許可が戸籍法の基準で許可された事案
千葉家H08 05/23審判=韓国では珍妙となる韓国人の名を韓国戸籍法を準拠法として名の変更を許可した事案
横浜家H03 11/28審判=名がカタカナのため韓国の法院で就籍が不許可で日本での漢字の名への変更許可事案
東京家S48 04/21審判=韓国人の名の変更の準拠法を韓国戸籍法として名の変更を許可した事案


 

第11条(消費者契約の特例) 消費者(個人(事業として又は事業のために契約の当事者となる場合におけるものを除く。)をいう。以下この条において同じ。)と事業者(法人その他の社団又は財団及び事業として又は事業のために契約の当事者となる場合における個人をいう。以下この条において同じ。)との間で締結される契約(労働契約を除く。以下この条において「消費者契約」という。)の成立及び効力について第 7条又は第9条の規定による選択又は変更により適用すべき法が消費者の常居所地法以外の法である場合であっても、消費者がその常居所地法中の特定の強行規定を適用すべき旨の意思を事業者に対し表示したときは、当該消費者契約の成立及び効力に関しその強行規定の定める事項については、その強行規定をも適用する。
 消費者契約の成立及び効力について第7条の規定による選択がないときは、第8条の規定にかかわらず、当該消費者契約の成立及び効力は、消費者の常居所地法による。
 消費者契約の成立について第7条の規定により消費者の常居所地法以外の法が選択された場合であっても、当該消費者契約の方式について消費者がその常居所地法中の特定の強行規定を適用すべき旨の意思を事業者に対し表示したときは、前条第 1項、第2項及び第4項の規定にかかわらず、当該消費者契約の方式に関しその強行規定の定める事項については、専らその強行規定を適用する。
 消費者契約の成立について第7条の規定により消費者の常居所地法が選択された場合において、当該消費者契約の方式について消費者が専らその常居所地法によるべき旨の意思を事業者に対し表示したときは、前条第 2項及び第4項の規定にかかわらず、当該消費者契約の方式は、専ら消費者の常居所地法による。
 消費者契約の成立について第七条の規定による選択がないときは、前条第1項、第2項及び第4項の規定にかかわらず、当該消費者契約の方式は、消費者の常居所地法による。
 前各項の規定は、次のいずれかに該当する場合には、適用しない。
 1. 事業者の事業所で消費者契約に関係するものが消費者の常居所地と法を異にする地に所在した場合であって、消費者が当該事業所の所在地と法を同じくする地に赴いて当該消費者契約を締結したとき。ただし、消費者が、当該事業者から、当該事業所の所在地と法を同じくする地において消費者契約を締結することについての勧誘をその常居所地において受けていたときを除く。
 2. 事業者の事業所で消費者契約に関係するものが消費者の常居所地と法を異にする地に所在した場合であって、消費者が当該事業所の所在地と法を同じくする地において当該消費者契約に基づく債務の全部の履行を受けたとき、又は受けることとされていたとき。ただし、消費者が、当該事業者から、当該事業所の所在地と法を同じくする地において債務の全部の履行を受けることについての勧誘をその常居所地において受けていたときを除く。
 3. 消費者契約の締結の当時、事業者が、消費者の常居所を知らず、かつ、知らなかったことについて相当の理由があるとき。
 4. 消費者契約の締結の当時、事業者が、その相手方が消費者でないと誤認し、かつ、誤認したことについて相当の理由があるとき。

法律案要綱 法律行為の準拠法 消費者契約の特例
法の通則法 第39条(常居所地法)
民法 第540条(解除権の行使) 第703条(不当利得の返還義務)  第709条(不法行為による損害賠償)


 

第12条(労働契約の特例) 労働契約の成立及び効力について第7条又は第9条の規定による選択又は変更により適用すべき法が当該労働契約に最も密接な関係がある地の法以外の法である場合であっても、労働者が当該労働契約に最も密接な関係がある地の法中の特定の強行規定を適用すべき旨の意思を使用者に対し表示したときは、当該労働契約の成立及び効力に関しその強行規定の定める事項については、その強行規定をも適用する。
 前項の規定の適用に当たっては、当該労働契約において労務を提供すべき地の法(その労務を提供すべき地を特定することができない場合にあっては、当該労働者を雇い入れた事業所の所在地の法。次項において同じ。)を当該労働契約に最も密接な関係がある地の法と推定する。
 労働契約の成立及び効力について第7条の規定による選択がないときは、当該労働契約の成立及び効力については、第8条第2項の規定にかかわらず、当該労働契約において労務を提供すべき地の法を当該労働契約に最も密接な関係がある地の法と推定する。


法律案要綱 法律行為の準拠法 労働契約の特例
民法 第627条(期間の定めのない雇用の解約の申入れ) 第628条(やむを得ない事由による雇用の解除) 第629条(雇用の更新の推定等)

関係判例
最高裁H21 10/16判決=米国ジョージア州港湾局日本代表部における解雇無効確認訴訟における日本での民事裁判権
東京高H19 10/04判決=米国ジョージア州港湾局日本代表部における解雇無効確認訴訟での民事裁判権免除事案=最高裁で破棄差戻し
東京地H18 05/18判決=米国ジョージア州港湾局日本代表部における解雇無効確認訴訟での準拠法=東京高裁で取消 されたが最高裁で破棄差戻し


    第3節 物権等

第13条(物権及びその他の登記をすべき権利) 動産又は不動産に関する物権及びその他の登記をすべき権利は、その目的物の所在地法による。
 前項の規定にかかわらず、同項に規定する権利の得喪は、その原因となる事実が完成した当時におけるその目的物の所在地法による。


法の通則法 第10条(法律行為の方式) 第26条(夫婦財産制) 第36条(相続)
民法 第176条(物権の設定及び移転) 第177条(不動産に関する物権の変動の対抗要件) 第178条(動産に関する物権の譲渡の対抗要件)

関係判例
最高裁H14 10/29判決=自動車の所有権取得の準拠法の基準となる法例10条2項(法の通則法13条2項)の所在地法
最高裁H06 03/08判決=共同相続された不動産の持分移転に関する準拠法
最高裁S53 04/20判決=定期預金証書を担保とする債権質に適用すべき準拠法はその目的である債権の準拠法による
東京高H13 05/30判決=著作権の譲渡について適用されるべき準拠法を決定する方法
 

 



    第4節 債権

第14条(事務管理及び不当利得) 事務管理又は不当利得によって生ずる債権の成立及び効力は、その原因となる事実が発生した地の法による。
 
法の通則法 第15条(明らかにより密接な関係がある地がある場合の例外) 第16条(当事者による準拠法の変更)
民法 第697条(事務管理) 第703条(不当利得の返還義務)


 


第15条(明らかにより密接な関係がある地がある場合の例外) 前条の規定にかかわらず、事務管理又は不当利得によって生ずる債権の成立及び効力は、その原因となる事実が発生した当時において当事者が法を同じくする地に常居所を有していたこと、当事者間の契約に関連して事務管理が行われ又は不当利得が生じたことその他の事情に照らして、明らかに同条の規定により適用すべき法の属する地よりも密接な関係がある他の地があるときは、当該他の地の法による。

法律案要綱 法定債権の成立及び効力の準拠法 事務管理及び不当利得の場合の例外

 

第16条(当事者による準拠法の変更) 事務管理又は不当利得の当事者は、その原因となる事実が発生した後において、事務管理又は不当利得によって生ずる債権の成立及び効力について適用すべき法を変更することができる。ただし、第三者の権利を害することとなるときは、その変更をその第三者に対抗することができない。

法律案要綱 法定債権の成立及び効力の準拠法 事務管理及び不当利得の場合の変更
法の通則法 第14条(事務管理及び不当利得)
民法 第697条(事務管理) 第703条(不当利得の返還義務)


 

第17条(不法行為) 不法行為によって生ずる債権の成立及び効力は、加害行為の結果が発生した地の法による。ただし、その地における結果の発生が通常予見することのできないものであったときは、加害行為が行われた地の法による。

法律案要綱 法定債権の成立及び効力の準拠法 不法行為
法の通則法 第18条(生産物責任の特例) 第19条(名誉又は信用の毀損の特例) 第20条(明らかにより密接な関係がある地がある場合の例外)
民法 第709条(不法行為による損害賠償) 

関係判例
最高裁H13 06/08判決=日本に住所等を有しない者への損害賠償請求訴訟で日本に国際裁判管轄を肯定した事案
最高裁H09 01/28判決=不法就労者が労災を受けた場合の損害賠償額の算定方法
東京地H19 12/14判決=著作権(公衆送信権)に関して北朝鮮との間でベルヌ条約上の権利義務関係を有しないとした事案
東京地H19 09/20判決=韓国人留学生が暴力団員に誤信で射殺された場合の逸失利益、慰謝料、葬儀費用、旅費等
神戸地H06 02/22判決=離婚に至る個々の行為を原因とする慰謝料を一般不法行為として不法行為地法とした事案
東京簡H19 03/20判決=国際航空運送の水漏れでの損害賠償に関する改正ワルソー条約の国際裁判管轄否定事案


 

第18条(生産物責任の特例) 前条の規定にかかわらず、生産物(生産され又は加工された物をいう。以下この条において同じ。)で引渡しがされたものの瑕疵により他人の生命、身体又は財産を侵害する不法行為によって生ずる生産業者(生産物を業として生産し、加工し、輸入し、輸出し、流通させ、又は販売した者をいう。以下この条において同じ。)又は生産物にその生産業者と認めることができる表示をした者(以下この条において「生産業者等」と総称する。)に対する債権の成立及び効力は、被害者が生産物の引渡しを受けた地の法による。ただし、その地における生産物の引渡しが通常予見することのできないものであったときは、生産業者等の主たる事業所の所在地の法(生産業者等が事業所を有しない場合にあっては、その常居所地法)による。

法律案要綱 法定債権の成立及び効力の準拠法 生産物責任の特例
法の通則法 第20条(明らかにより密接な関係がある地がある場合の例外)
民法 第709条(不法行為による損害賠償) 


 


第19条(名誉又は信用の毀損の特例) 第17条の規定にかかわらず、他人の名誉又は信用を毀損する不法行為によって生ずる債権の成立及び効力は、被害者の常居所地法(被害者が法人その他の社団又は財団である場合にあっては、その主たる事業所の所在地の法)による。

法律案要綱 法定債権の成立及び効力の準拠法 名誉又は信用の毀損の特例
法の通則法 第20条(明らかにより密接な関係がある地がある場合の例外)
民法 第710条(財産以外の損害の賠償)

関係判例
東京地H20 08/29判決=韓国の出版社の書籍が「海賊版」であるとするホームページが日本法で名誉毀損でないとされた事案

 


第20条(明らかにより密接な関係がある地がある場合の例外) 前3条の規定にかかわらず、不法行為によって生ずる債権の成立及び効力は、不法行為の当時において当事者が法を同じくする地に常居所を有していたこと、当事者間の契約に基づく義務に違反して不法行為が行われたことその他の事情に照らして、明らかに前 3条の規定により適用すべき法の属する地よりも密接な関係がある他の地があるときは、当該他の地の法による。

法律案要綱 法定債権の成立及び効力の準拠法 明らかにより密接な関係がある地がある場合の例外
民法 第709条(不法行為による損害賠償) 第710条(財産以外の損害の賠償)

関係判例
仙台高H06 09/19判決=公海上で船舶国籍を異にする船舶が衝突した場合の不法行為責任、船主責任制限の準拠法

 

第21条(当事者による準拠法の変更) 不法行為の当事者は、不法行為の後において、不法行為によって生ずる債権の成立及び効力について適用すべき法を変更することができる。ただし、第三者の権利を害することとなるときは、その変更をその第三者に対抗することができない。

法律案要綱 法定債権の成立及び効力の準拠法 当事者による準拠法の変更
法の通則法 第17条(不法行為)
民法 第709条(不法行為による損害賠償) 第710条(財産以外の損害の賠償)

 

 


第22条(不法行為についての公序による制限) 不法行為について外国法によるべき場合において、当該外国法を適用すべき事実が日本法によれば不法とならないときは、当該外国法に基づく損害賠償その他の処分の請求は、することができない。
 不法行為について外国法によるべき場合において、当該外国法を適用すべき事実が当該外国法及び日本法により不法となるときであっても、被害者は、日本法により認められる損害賠償その他の処分でなければ請求することができない。

法の通則法 第17条(不法行為) 第42条(公序)
民法 第90条(公序良俗) 第709条(不法行為による損害賠償) 第710条(財産以外の損害の賠償)

関係判例
最高裁H14 09/26判決=米国の特許権の侵害に当たる行為に関する日本における差止め請求と民法709条の適用
東京地H20 08/29判決=韓国の出版社の書籍が「海賊版」であるとするホームページが日本法で名誉毀損でないとされた事案

 

第23条(債権の譲渡) 債権の譲渡の債務者その他の第三者に対する効力は、譲渡に係る債権について適用すべき法による。


法律案要綱 債権の譲渡の債務者その他の第三者に対する効力の準拠法
民法 第467条(指名債権の譲渡の対抗要件)

手形法 第91条(振出しの原因たる債権の取得に関する準拠法)
小切手法 第80条(支払地と準拠法の決定)

 


    第5節 親族 

第24条(婚姻の成立及び方式) 婚姻の成立は、各当事者につき、その本国法による。
 婚姻の方式は、婚姻挙行地の法による。
 前項の規定にかかわらず、当事者の一方の本国法に適合する方式は、有効とする。ただし、日本において婚姻が挙行された場合において、当事者の一方が日本人であるときは、この限りでない。

法の通則法 第27条(離婚) 第38条(本国法) 第41条(反致)
民法 第731条(婚姻適齢) 第732条(重婚の禁止) 第733条(再婚禁止期間) 第734条(近親者間の婚姻の禁止) 第737条(未成年者の婚姻についての父母の同意) 第739条(婚姻の届出) 第741条(外国に在る日本人間の婚姻の方式) 第742条(婚姻の無効) 第743条(婚姻の取消し)
戸籍法 第25条(届出の場所) 第40条(在外日本人の届出) 第42条(外国で受理した書類の送付) 第74条(婚姻届)

判例・先例は戸籍法に移動しました



 

第25条(婚姻の効力) 婚姻の効力は、夫婦の本国法が同一であるときはその法により、その法がない場合において夫婦の常居所地法が同一であるときはその法により、そのいずれの法もないときは夫婦に最も密接な関係がある地の法による。
 
法の通則法 第27条(離婚) 第38条(本国法) 第39条(常居所地法)
民法 第750条(夫婦の氏) 第752条(同居、協力及び扶助の義務) 第753条(婚姻による成年擬制) 第754条(夫婦間の契約の取消権)

家事手続 婚姻等に関する審判事件
戸籍法 第20条の2(外国人との婚姻等による新戸籍編製) 第107条(氏の変更)
関係判例

福岡高S47 12/22決定=分裂国家の国民に関する本国法の決定方法・中華民国における「姓」と日本の「氏」の関係
東京家H04 06/22審判=外国人と日本人夫婦との間に出生した子は氏制度を採用する日本民法の適用を受ける
広島家H02 05/24審判=韓国人と婚姻した日本人妻が夫の通称名に氏の変更が許可された事案
京都家S55 02/28審判=婚姻による氏は人格権たる氏名権の問題として本人の属人法(スイス民法)を認めた事案

関係先例

S56 07/16民二4543回答=日本人夫とスイス人妻の嫡出子出生届で母の婚姻による変更された氏名の記載を認めた事案
S55 08/27民二5217回答=日本人夫とドイツ人妻の嫡出子出生届で母の婚姻による変更された氏名の記載を認めた事案
S55 09/11民二5397回答=日本人夫とニュー・ジーランド人妻の嫡出子の母欄の姓の更生についての戸籍処理
S55 08/27民二5217回答=日本人夫とドイツ人妻の嫡出子出生届で母の婚姻による変更された氏名の記載を認めた事案
S42 03/27民甲0365回答=ドイツで婚姻した日本国民の称する氏について
S32 03/27民甲0577回答=後見人のある未成年の日本人女がアメリカ人男と結婚した場合の成年擬制
S28 10/21民甲1941回答=ニュージーランド軍人男と日本人女が婚姻した場合の双方の法律関係



第26条(夫婦財産制) 前条の規定は、夫婦財産制について準用する。
 前項の規定にかかわらず、夫婦が、その署名した書面で日付を記載したものにより、次に掲げる法のうちいずれの法によるべきかを定めたときは、夫婦財産制は、その法による。この場合において、その定めは、将来に向かってのみその効力を生ずる。
 1. 夫婦の一方が国籍を有する国の法
 2. 夫婦の一方の常居所地法
 3. 不動産に関する夫婦財産制については、その不動産の所在地法
 前2項の規定により外国法を適用すべき夫婦財産制は、日本においてされた法律行為及び日本に在る財産については、善意の第三者に対抗することができない。この場合において、その第三者との間の関係については、夫婦財産制は、日本法による。
 前項の規定にかかわらず、第1項又は第2項の規定により適用すべき外国法に基づいてされた夫婦財産契約は、日本においてこれを登記したときは、第三者に対抗することができる。

法の通則法 第34条(親族関係についての法律行為の方式) 第38条(本国法) 第39条(常居所地法)
民法 第755条(夫婦の財産関係) 第756条(夫婦財産契約の対抗要件) 第758条(夫婦の財産関係の変更の制限等) 第759条(財産の管理者の変更及び共有財産の分割の対抗要件)

家事手続 婚姻等に関する審判事件
外国法人・夫婦財産 第5条(夫婦財産契約の登記の事務をつかさどる登記所)

民事執行 第144条(執行裁判所)
破産法 第4条(破産事件の管轄)
関係判例

大阪家S54 02/01審判=婚姻費用の分担を扶養の問題として夫の本国法であるカリフォルニア州民法を準拠法とした事案

関係先例
S34 09/23民甲2137回答=昭和30年代における日本に居住するスイス人間の夫婦財産契約について
S30 01/11民甲0040回答=戦前に日本人男と離婚した仏人女が婚姻中に自己名義で取得した有価証券・仏法の自筆遺言書

 

第27条(離婚) 第25条の規定は、離婚について準用する。ただし、夫婦の一方が日本に常居所を有する日本人であるときは、離婚は、日本法による。

法の通則法 第24条(婚姻の成立及び方式) 第34条(親族関係についての法律行為の方式) 第38条(本国法) 第39条(常居所地法) 第40条(人的に法を異にする国又は地の法) 第42条(公序)
民法 第763条(協議上の離婚) 第764条(婚姻の規定の準用) 第767条(離婚による復氏等) 第768条(財産分与) 第770条(裁判上の離婚) 第771条(協議上の離婚の規定の準用)

家事手続 婚姻等に関する審判事件
戸籍法 第76条(離婚の届出) 第107条(氏の変更)
民事訴訟 第118条(外国裁判所の確定判決の効力)

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第28条(嫡出である子の親子関係の成立) 夫婦の一方の本国法で子の出生の当時におけるものにより子が嫡出となるべきときは、その子は、嫡出である子とする。
 夫が子の出生前に死亡したときは、その死亡の当時における夫の本国法を前項の夫の本国法とみなす。

法の通則法 第34条(親族関係についての法律行為の方式) 第38条(本国法) 第41条(反致)
民法 第772条(嫡出の推定)  第773条(父を定めることを目的とする訴え) 第774条(嫡出の否認) 第776条(嫡出の承認)

戸籍法 第49条(出生届)

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第29条(嫡出でない子の親子関係の成立) 嫡出でない子の親子関係の成立は、父との間の親子関係については子の出生の当時における父の本国法により、母との間の親子関係についてはその当時における母の本国法による。この場合において、子の認知による親子関係の成立については、認知の当時における子の本国法によればその子又は第三者の承諾又は同意があることが認知の要件であるときは、その要件をも備えなければならない。
 子の認知は、前項前段の規定により適用すべき法によるほか、認知の当時における認知する者又は子の本国法による。この場合において、認知する者の本国法によるときは、同項後段の規定を準用する。
 父が子の出生前に死亡したときは、その死亡の当時における父の本国法を第一項の父の本国法とみなす。前項に規定する者が認知前に死亡したときは、その死亡の当時におけるその者の本国法を同項のその者の本国法とみなす。

法の通則法 第34条(親族関係についての法律行為の方式) 第38条(本国法) 第41条(反致) 第42条(公序)
民法 第779条(認知) 第780条(認知能力) 第781条(認知の方式) 第782条(成年の子の認知) 第783条(胎児又は死亡した子の認知) 第784条(認知の効力) 第787条(認知の訴え)

戸籍法 第49条(出生届) 第60条(認知届) 第61条(胎児の認知) 第62条(嫡出子出生届と認知の効力) 第63条(裁判による認知) 第64条(遺言による認知)

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第30条(準正) 子は、準正の要件である事実が完成した当時における父若しくは母又は子の本国法により準正が成立するときは、 嫡出子の身分を取得する。
 前項に規定する者が準正の要件である事実の完成前に死亡したときは、その死亡の当時におけるその者の本国法を同項のその者の本国法とみなす。

法の通則法 第24条(婚姻の成立及び方式) 第29条(嫡出でない子の親子関係の成立) 第34条(親族関係についての法律行為の方式) 第38条(本国法) 第41条(反致)
民法  第789条(準正)
戸籍法 第62条(嫡出子出生届と認知の効力)
国籍法 第3条(準正による国籍の取得)
関係判例
東京家S47 02/14審判=日本人母とカナダ人父の子で同国で出生登録後、父母が婚姻して日本で届出をしなかった場合
関係先例
S59 01/23民二0498回答=日本人女とトンガ王国男の婚姻前にトンガ王国で出生した子についての嫡出子出生届
S57 09/06民二5441回答=ドミニカ国から帰化後、ドミニカ国の父母が婚姻して嫡出子の身分を取得した場合の戸籍訂正
S57 05/10民二3303回答=日本人、父フィンランド人の婚姻後97日後の出生した子について母からなされた嫡出子出生届
S57 01/25民二0554回答=日本人女の婚姻したネパール人男からなされた妻の非嫡出子に関する認知の届出と準正
S49 08/20民二4766回答=アルゼンチンの戸籍台帳に日本人女の非嫡出子の父欄に日本人男が表示されている場合
S49 08/20民二4765回答=日本人女と婚姻したコスタ・リカ人男から届出のあった妻の非嫡出子の認知届と嫡出性
S46 02/08民甲0509回答=ドイツ人父と日本人母の非嫡出子が父母の婚姻で嫡出子の身分を取得した場合の戸籍処理
S43 09/18民甲3040回答=日本人母とドイツ人男の婚姻によって準正となる日本人未成年者がドイツ法で準正される場合
S40 08/04民甲1922回答=旧国籍法施行当時、タイ人女と日本人男の婚姻前に生まれた子についての戸籍法62条の届出
S35 10/28民甲2607回答=台湾人男と婚姻した日本人女の婚姻前の子が台湾人男の中国戸籍に登載されている場合
S34 10/19民甲2332回答=朝鮮男と日本人女の婚姻後200日以内の子を父が認知した場合の前国籍法による子の国籍
S34 09/12民甲2048回答=日本人男と外国人女の婚姻前の出生子の婚姻後における戸籍法62条による嫡出子の氏
S34 08/28民甲1576回答=米国人男と日本人女の婚姻後200日以内の子を父が認知した場合の前国籍法による子の国籍
S34 06/19民甲1082回答=日本人男と朝鮮人女の婚姻後200日以内の子の非嫡出子の出生届後、父が認知した場合
S31 06/11民甲1300回答=胎児認知のなされている父母婚姻前に出生した外国人女の子の婚姻後の戸籍法62条の出生届
S26 11/10民甲2137回答=日本人女と婚姻した米国人男が非嫡出子を認知する場合の認知要件具備の証明書
S26 08/17民甲1652回答=日本人女の嫡出でない子を中国人男が認知しその後、父母が婚姻した場合の戸籍処理

 


第31条(養子縁組) 養子縁組は、縁組の当時における養親となるべき者の本国法による。この場合において、養子となるべき者の本国法によればその者若しくは第三者の承諾若しくは同意又は公的機関の許可その他の処分があることが養子縁組の成立の要件であるときは、その要件をも備えなければならない。
 養子とその実方の血族との親族関係の終了及び離縁は、前項前段の規定により適用すべき法による。

法の通則法 第34条(親族関係についての法律行為の方式) 第38条(本国法) 第41条(反致) 第42条(公序)
民法 第792条(養親となる者の年齢) 第793条(尊属又は年長者を養子とすることの禁止) 第796条(配偶者のある者の縁組) 第797条(15歳未満の者を養子とする縁組) 第798条(未成年者を養子とする縁組) 第799条(婚姻の規定の準用) 第802条(縁組の無効) 第803条(縁組の取消し) 第814条(裁判上の離縁) 第817条の2(特別養子縁組の成立) 第817条の9(実方との親族関係の終了)

家事手続 第161条(養子縁組をするについての許可の審判事件) 第162条(死後離縁をするについての許可の審判事件) 第164条 (特別養子縁組の成立の審判事件) 第165条 (特別養子縁組の離縁の審判事件)
戸籍法 第66条(縁組の届出) 第68条の2(裁判による縁組) 第69条(縁組の取消し) 第70条(離縁届) 第73条(裁判上の離縁、離縁の取消し) 


判例・先例は戸籍法に移動しました

 



第32条(親子間の法律関係) 親子間の法律関係は、子の本国法が父又は母の本国法(父母の一方が死亡し、又は知れない場合にあっては、他の一方の本国法)と同一である場合には子の本国法により、その他の場合には子の常居所地法による。

法の通則法 第34条(親族関係についての法律行為の方式) 第38条(本国法) 第39条(常居所地法)
民法 第766条(離婚後の子の監護に関する事項の定め等) 第771条(協議上の離婚の規定の準用) 第818条(親権者) 第819条(離婚又は認知の場合の親権者) 

家事手続 親権に関する審判事件
関係判例

最高裁H29 12/21決定2=国際的な子の奪取条約実施法の確定後に監護に重大な危険の発生による返還拒否事案
最高裁H22 08/04決定2=米国裁判所の確定判決で単独監護権を有する者が子の引渡し等を求める場合の人身保護手続
東京高H17 11/24決定=日本に在る日本人父からフィリピンに在る同国籍の母に同国籍の子の親権を指定した事案
名古高H09 01/29決定=離婚調停中の英国籍で英国に在る夫が日本人妻に対し子の面接交渉を求める審判の抗告審
東京地H07 12/26判決=日本人夫とイタリア人妻の離婚、慰謝料及び財産分与、親権の指定及び養育料の支払請求事案
横浜地H03 10/31判決=米国籍夫婦の離婚・財産分与・親権の指定が改正後の法例を適用して日本法が準拠法の事案
東京地H02 11/28判決=韓国人と日本人の離婚の際の親権者の指定に共通本国法の韓国法が公序に反するとした事案
東京地S63 05/27判決=在日韓国人夫婦の離婚で親権者指定と財産分与請求に関して公序による日本民法の適用
千葉地S62 09/28判決=前法例施行当時の在日韓国人夫婦(一貫して日本で生活)の離婚に伴う親権者の指定の準拠法
東京地S60 06/13判決=前法例施行当時のフィリピン人夫と日本人妻の離婚と親権者指定の準拠法
東京家H22 07/15審判=イラン法を公序違反とし子の親権を日本法でイラン国籍の元夫からコロンビア国籍の元妻にした事案
横浜家H22 01/12審判=米国州最高裁で米国地裁の共同親権が否定され日本家裁で日本人母に親権が指定された事案
前橋家H21 05/13審判=在留資格「永住」の中国人同士の子に関する中国婚姻法36条3項「撫育者」の変更認容事案
東京家H20 05/07審判=米国(ペンシルベニア州)で親権者と生活している子との面接交渉事件における国際裁判管轄
京都家H06 03/31審判=仏人の日本に住む子の面接交渉の申立で仏裁判所の方法を承認せず独自の判断をした事案
浦和家H01 06/19審判=前法例施行当時の日本人妻と英国人夫の離婚審判と親権者指定における英国法
東京家S63 02/23審判=前法例施行当時の日本人妻とペルー人夫の離婚調停と親権の指定及び面接交渉での家事審判
東京家S62 04/27審判=前法例施行当時、外国離婚裁判決で離婚に伴う親権者の指定がなされない場合
札幌家S60 09/13審判=前法例施行当時の日本人妻と北朝鮮人夫の離婚と親権者指定に伴う「北朝鮮法令規則」の適用
関係先例
S52 10/06民二5114回答=前法例施行当時の子の親権者を母とする中国人夫と日本人妻との協議離婚届の受否
S40 06/11民甲1165回答=米国に在る米国人夫と日本に在る日本人妻の米国裁判所の離婚判決による未成年養子の親権
 

第33条(その他の親族関係等) 第24条から前条までに規定するもののほか、親族関係及びこれによって生ずる権利義務は、当事者の本国法によって定める。

法の通則法 第38条(本国法) 第40条(人的に法を異にする国又は地の法) 第41条(反致)
民法 第725条(親族の範囲) 第727条(縁組による親族関係の発生) 第728条(離婚等による姻族関係の終了) 第729条(離縁による親族関係の終了) 第730条(親族間の扶け合い)
関係判例 

最高裁H12 01/27判決=韓国人を被相続人とする相続の先決問題である親子関係の成立を法廷地の国際私法で決定


第34条(親族関係についての法律行為の方式) 第24条から前条までに規定する親族関係についての法律行為の方式は、当該法律行為の成立について適用すべき法による。
 前項の規定にかかわらず、行為地法に適合する方式は、有効とする。

民法 第764条(婚姻の規定の準用) 第781条(認知の方式) 第801条(外国に在る日本人間の縁組の方式) 第812条(婚姻の規定の準用)
戸籍法 第40条(在外日本人の届出) 第60条(認知届) 第62条(嫡出子出生届と認知の効力) 第66条(縁組の届出) 第76条(離婚の届出)
 

第35条(後見等) 後見、保佐又は補助(以下「後見等」と総称する。)は、被後見人、被保佐人又は被補助人(次項において「被後見人等」と総称する。)の本国法による。
 前項の規定にかかわらず、外国人が被後見人等である場合であって、次に掲げるときは、後見人、保佐人又は補助人の選任の審判その他の後見等に関する審判については、日本法による。
 1. 当該外国人の本国法によればその者について後見等が開始する原因がある場合であって、日本における後見等の事務を行う者がないとき。
 2. 日本において当該外国人について後見開始の審判等があったとき。


法の通則法 第5条(後見開始の審判等) 第38条(本国法) 第41条(反致)
法律案要綱 後見の準拠法

民法 第838条(後見開始の原因) 第843条(成年後見人の選任) 第876条(保佐の開始) 第876条の2(保佐人及び臨時保佐人の選任等) 第876条の6(補助の開始) 第876条の7(補助人及び臨時補助人の選任等)
家事手続 成年後見に関する審判事件 保佐に関する審判事件 補助に関する審判事件
関係判例

東京家S49 03/28審判=日本に在る未成年者に本国法上の後見開始原因が認定され日本法による後見人選任事案



    第6節 相続 

第36条(相続) 相続は、被相続人の本国法による。

法の通則法 第38条(本国法) 第40条(人的に法を異にする国又は地の法) 第41条(反致)
民法 第31条(失踪の宣告の効力) 第32条の2(同時死亡の推定) 第882条(相続開始の原因) 第886条(相続に関する胎児の権利能力) 第887条(子及びその代襲者等の相続権) 第889条(直系尊属及び兄弟姉妹の相続権) 第896条(相続の一般的効力) 第959条(残余財産の国庫への帰属)
家事手続 推定相続人の廃除に関する審判事件 第190条(相続の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件) 遺産の分割に関する審判事件 相続の承認及び放棄に関する審判事件 第202条(財産分離に関する審判事件) 相続人の不存在に関する審判事件
遺言準拠
特許法 第76条(相続人がない場合の特許権の消滅)
著作権法 第62条(相続人の不存在の場合等における著作権の消滅)
関係判例

最高裁H12 01/27判決=韓国人を被相続人とする相続の先決問題である親子関係の成立を法廷地の国際私法で決定
最高裁H06 03/08判決2=日本の不動産を所有していた中国人の相続で反致により日本法が準拠法とされた事案
最高裁H06 03/08判決=共同相続された不動産の持分移転に関する準拠法
最高裁S56 07/02判決=韓国人の相続で数個の自働債権、受働債権に相殺の順序の指定をしていない場合の充当
最高裁S44 04/10判決=大韓民国で昭和31年当時に戸主の死亡した場合の相続関係
最高裁S37 08/10判決=韓国人で昭和31年当時における家族である未婚者の死亡した場合の相続関係
大阪高H15 04/22決定=事実婚の韓国人夫婦で夫の死亡による財産分与等での本国法の韓国法での解釈
東京高H06 03/08判決=中国人の相続で中国継承法が発効した時点で未処理と認定され同法で反致による日本法適用事案
福岡高H04 12/25判決=在日韓国人の相続で旧韓国民法の適用で日本に帰化したため戸主相続人になれなかった事案
東京高H02 06/28判決=中国人の相続で中国継承法が遡及的適用され反致による不動産所在地の日本法適用事案
東京高S54 07/03判決=二重反致が成立し相続準拠法がロシヤ共和国民法になった事案
東京地H04 06/26判決=中華民国の相続で嫡出子と非嫡出子の相続分及び遺留分が同一であることと日本における公序
東京地H03 12/20判決=在日ソ連人の遺言でロシア共和国の国際私法規定による反致が成立しての日本法適用事案
東京地H03 03/29判決=外国人と事前に相談して英文を作成、日本語に翻訳し公証人が清書、読み聞かせた公正証書遺言
東京家H13 09/17審判=日本国内に住所を有していたゾロアスター教徒であるインド国籍の者の遺言執行者選任事案
東京家H11 10/15審判=日本が最後の住所のニュージーランド人の相続で反致により日本法を適用しての限定相続受理事案
神戸家H06 07/27審判=日本が最後の住所のインド人の相続で反致による日本法適用の相続放棄事案
名古家H06 03/25審判=戦前からの在日朝鮮人の相続で条理による準拠法を日本法とした特別縁故者への財産分与事案
東京家S63 08/31審判=在日韓国人の相続で韓国民法中財産相続に関する規定による遺産分割事案
関係先例
S57 03/11民三1952回答=英国人所有の不動産に係る遺産分割調停調書に基く登記申請について
S56 06/25民三4195回答=カナダ国籍の元日本人の相続登記
S56 02/13民三0837回答=中華民国の戸籍の記載が真実と一致しない場合の日本の不動産に関する相続登記
S54 06/29民三3549通知=ブラジル在住の日本人の相続関係の書面に関するブラジル公証人の本人署名証明
S52 02/05民三0773回答=被相続人であるドイツ人の不動産の処分
S51 09/03民三4910回答=中国人の相続証明書と遺産分割協議書
S48 04/10民三2999回答=オーストラリアの法律に基づいて作成される日本民法903条の書面(特別受益証明書)
S46 11/02民三0303回答=日本国籍を喪失した元日本人の遺産相続開係書類をアメリカの公証人が作成する場合
S41 01/20民甲0274回答=アメリカに帰化後アメリカで結婚した事実がない旨の近親者の宣誓書(相続に関する証明書)
S40 08/05民甲1966回答=米国在住日本人の「相続放棄について」「住所証明」に関する米国公証人が作成した書面
S40 06/23民甲1429回答=日本におけるフランス人の相続に関する規制について
S38 05/02民甲1214回答=日本で 死亡したスイス人がフランスで遺言を作成している場合の日本にある遺産の相続関係
S37 12/20民甲3626回答=韓国人夫が死亡し直系卑属の東京家裁での相続放棄が受理された場合の韓国人妻の相続登記
S36 11/18民甲2858回答=日本で死亡した スイス人の遺産相続に関する準拠法
S35 11/10民甲2797回答=中国籍の者が日本民法903条の証明書で印鑑証明書や領事館の人定証明書が得られない場合
S33 02/14民三0121回答=日本領有当時の台湾における台湾本島人(当時の日本国籍)の日本での相続
S32 04/20民甲0802回答=英国で死亡した日本人の相続人が全て日本人の場合の遺産である英国通貨の相続
S31 06/30民甲1376回答=在米国日本人が死亡し米国にある遺産を日本に在る日本人が相続する場合の取扱い
S30 04/15民甲0707回答=朝鮮の相続に関する法令が失効しまだ公布されていない場合の日本における朝鮮人の相続
S29 11/22民二0443回答=「外国人ノ遺産ノ保存処分ニ関スル手続」の条約未締結国の国籍を有する者の遺産の保存処分
S29 02/01民甲0192回答=在日のンド人が死亡しその相続人と称する者から外務省に日本にある遺産の保全を要請した場合
S27 08/28民甲0127回答=未登記建物の所有者である韓国人が死亡した場合の相続による保存登記
S26 03/08民甲0455回答=中華民国の国籍を有する中華民国人が死亡した場合の相続の準拠法
S25 09/12民甲2511回答=相続人である日本人が外国人の遺産を相続する場合の外国に提出するための身分証明書作成
S24 12/07民甲2822回答=日本国籍を喪失した場合の相続関係

 

第37条(遺言) 遺言の成立及び効力は、その成立の当時における遺言者の本国法による。
 遺言の取消しは、その当時における遺言者の本国法による。


法の通則法 第38条(本国法) 第40条(人的に法を異にする国又は地の法) 第41条(反致)
民法  第960条(遺言の方式) 第961条(遺言能力) 第984条(外国に在る日本人の遺言の方式) 第985条(遺言の効力の発生時期) 第1022条(遺言の撤回) 第1026条(遺言の撤回権の放棄の禁止)

家事手続 遺言に関する審判事件 第216条(遺留分に関する審判事件)
遺言準拠 第2条(準拠法)  第3条(遺言の取消) 第6条(本国法) 第7条(住所地法)

関係先例
S39 06/06民甲2052回答=日本における養子縁組制度の法律解釈とその方法・遺言での養子縁組
S38 05/02民甲1214回答=日本で 死亡したスイス人がフランスで遺言を作成している場合の日本にある遺産の相続関係


    第7節 補則 

第38条(本国法) 当事者が2以上の国籍を有する場合には、その国籍を有する国のうちに当事者が常居所を有する国があるときはその国の法を、その国籍を有する国のうちに当事者が常居所を有する国がないときは当事者に最も密接な関係がある国の法を当事者の本国法とする。ただし、その国籍のうちのいずれかが日本の国籍であるときは、日本法を当事者の本国法とする。
 当事者の本国法によるべき場合において、当事者が国籍を有しないときは、その常居所地法による。ただし、第25条第26条第1項及び第27条において準用する場合を含む。)及び第 32条の規定の適用については、この限りでない。
 当事者が地域により法を異にする国の国籍を有する場合には、その国の規則に従い指定される法(そのような規則がない場合にあっては、当事者に最も密接な関係がある地域の法)を当事者の本国法とする。

法の通則法 第39条(常居所地法)
扶養準拠 第2条(準拠法) 第7条(常居所地法及び本国法)
遺言準拠 第2条(準拠法) 第6条(本国法)
手形法 第88条(手形行為能力と準拠法)
小切手法 第76条(小切手為能力と準拠法)
関係判例

福岡高S47 12/22決定=分裂国家の国民に関する本国法の決定方法・中華民国における「姓」と日本の「氏」の関係
大阪高S37 11/06判決=国際私法上で未承認国の法律適用の適否・離婚に関する中国人の本国法の決定要件
大阪地S60 09/27判決=不明の北朝鮮法を準拠法として条理で判断した血縁的関係のない親子関係不存在確認事案
横浜家H22 01/12審判=米国州最高裁で米国地裁の共同親権が否定され日本家裁で日本人母に親権が指定された事案
水戸家H03 03/04審判=密接関連法として日本法で離婚し、重国籍の本国法の密接関連法として英国法で親権者を指定
那覇家S50 01/17審判=無国籍者である者が中華民国に在る中国人を相手とする親子関係不存在確認の認容事案
札幌家S47 12/20審判=虚偽の出生届による親子関係不存在確認における国際私法上の国籍の解釈
関係先例
H21 08/17民一1953回答=常居所が日本のパキスタン人夫とブラジル人妻の協議離婚で未成年の子がいる場合
S48 10/04民二7502回答=中華民国の国籍喪失許可で無国籍となった夫と日本人妻の嫡出子出生届による戸籍処理
S44 07/08民甲1371回答=一方当事者の本国法に認知・離婚等の制度そのものがない場合における法例30条の解釈
 



第39条(常居所地法) 当事者の常居所地法によるべき場合において、その常居所が知れないときは、その居所地法による。ただし、第 25条第26条第1項及び第27条において準用する場合を含む。)の規定の適用については、この限りでない。

法の通則法 第8条(当事者による準拠法の選択がない場合) 第11条(消費者契約の特例) 第18条(生産物責任の特例) 第19条(名誉又は信用の毀損の特例) 第32条(親子間の法律関係) 第38条(本国法)
民法 第22条(住所) 第23条(居所)

扶養準拠 第2条(準拠法) 第7条(常居所地法及び本国法)
遺言準拠 第2条(準拠法) 第6条(本国法)
関係判例

東京地H02 12/07判決=インドネシア人と日本人の離婚と親権者の指定で常居所地法として日本法が適用された事案
関係先例
H01 10/02民二3900通達=法例一部改正(婚姻・離婚・出生・認知・養子縁組・離縁・親権・常居所等)に伴う戸籍事務
 

 

第40条(人的に法を異にする国又は地の法) 当事者が人的に法を異にする国の国籍を有する場合には、その国の規則に従い指定される法(そのような規則がない場合にあっては、当事者に最も密接な関係がある法)を当事者の本国法とする。
 前項の規定は、当事者の常居所地が人的に法を異にする場合における当事者の常居所地法で第25条第 26条第1項及び第27条において準用する場合を含む。)、第26条第2項第2号、第 32条又は第38条第2項の規定により適用されるもの及び夫婦に最も密接な関係がある地が人的に法を異にする場合における夫婦に最も密接な関係がある地の法について準用する。

法の通則法 第43条(適用除外) 
扶養準拠 第2条(準拠法) 第3条(傍系親族間及び姻族間の扶養義務の準拠法の特例)
遺言準拠 第2条(準拠法)
手形法 第88条(手形行為能力と準拠法)
小切手法 第76条(小切手為能力と準拠法)
関係判例

東京地H03 03/29判決=異教徒間の婚姻を禁止するエジプト法を公序良俗に反するとしてその適用が排除された事案
福岡高S47 12/22決定=分裂国家の国民に関する本国法の決定方法・中華民国における「姓」と日本の「氏」の関係
関係先例
S33 04/11民甲0767回答=米国ニュージャージー州に在るペンシルバニア州出身者、日本人妻と日本に在る日本人の養子縁組

 

第41条(反致) 当事者の本国法によるべき場合において、その国の法に従えば日本法によるべきときは、日本法による。ただし、第 25条第26条第1項及び第27条において準用する場合を含む。)又は第 32条の規定により当事者の本国法によるべき場合は、この限りでない。

法の通則法 第43条(適用除外) 
扶養準拠 第2条(準拠法) 第3条(傍系親族間及び姻族間の扶養義務の準拠法の特例)
遺言準拠 第2条(準拠法)
手形法 第88条(手形行為能力と準拠法)
小切手法 第76条(小切手為能力と準拠法)

関係判例 
東京高H18 10/30決定=中国人親子の扶養料の支払いの前提となる成年時期に関する中国通則法143条に基く反致
最高裁H06 03/08判決2=日本の不動産を所有していた中国人の相続で反致により日本法が準拠法とされた事案
東京高H06 03/08判決=中国人の相続で中国継承法が発効した時点で未処理と認定され同法で反致による日本法適用事案
東京高H02 06/28判決=中国人の相続で中国継承法が遡及的適用され反致による不動産所在地の日本法適用事案
東京高S54 07/03判決=二重反致が成立し相続準拠法がロシヤ共和国民法になった事案
東京地H03 12/20判決=在日ソ連人の遺言でロシア共和国の国際私法規定による反致が成立しての日本法適用事案
東京地S55 11/28判決=前法例施行当時の中国人夫婦(夫密入国・妻行方不明)の離婚訴訟における日本民法の適用
東京家H11 10/15審判=日本が最後の住所のニュージーランド人の相続で反致により日本法を適用しての限定相続受理事案
青森家H20 03/28審判=「隠れた反致」により日本民法を適用した米国人夫婦と日本人子の特別養子縁組成立事案
神戸家H06 07/27審判=日本が最後の住所のインド人の相続で反致による日本法適用の相続放棄事案
東京家S61 09/17審判=前法例施行当時の米国に在る日本人妻と日本に在るオーストラリア人の離婚での隠れた反致
名古家S57 09/29審判=前法例施行当時の日本人妻とインド人夫の離婚調停における同国国際私法とドミサイルの認定
岡山家S53 10/06審判=米国に在る米国人夫婦と日本に在る未成年者日本人の反致による養子縁組許可事案
関係先例
H29 12/14民一1474回答=在留資格「永住」で日本人夫がある中国人女が中国人男の養子縁組で反致されず中国法が準拠法
H22 12/13民一3139回答=日本人が養子、日本人男とペルー人女夫婦が養親の縁組でペルー民法2087条での反致
H18 07/25民一1690回答=ペルー人男と中国人女の婚姻届でペルー人男が日本に「住所」を有する場合の反致
S28 06/19民甲0972回答=米国人男と日本人女の婚姻後200日以内に出生した子の米国国際私法の解釈


第42条(公序) 外国法によるべき場合において、その規定の適用が公の秩序又は善良の風俗に反するときは、これを適用しない。

民法 第90条(公序良俗)
民事訴訟 第118条(外国裁判所の確定判決の効力)
扶養準拠 第8条(公序)
遺言準拠 第8条(公序)
関係判例

最高裁H19 03/23決定=代理出産の米国裁判所の判断が民法の母子関係の解釈や昭和37年最判から公序に反する
最高裁H14 09/26判決=米国の特許権の侵害に当たる行為に関する日本における差止め請求と民法709条の適用
最高裁H10 03/12判決=内地人女子の嫡出でない子が昭和23年6月に朝鮮人男子により認知された場合の戸籍と国籍
最高裁S59 07/20判決=韓国民法を準拠法とする離婚で財産分与を認めていないことが法例30条に反しない事案
最高裁S52 03/31判決=離婚による親権者の指定の準拠法を韓国民法から法例30条で日本民法に適用した事案
最高裁S50 06/27判決=韓国民法で死後認知の出訴期間を1年に限定することと日本(出訴期間を3年)での公序良俗
名古高S51 06/29判決=妻の不貞でも妻に離婚請求権事案・韓国籍同士の離婚でも親権指定では法例30条で日本法
東京高S28 09/11判決=イランの石油国有化法の効力を認めることは国際私法の公序に反しない
東京地H04 06/26判決=中華民国の相続で嫡出子と非嫡出子の相続分及び遺留分が同一であることと日本における公序
東京地H03 03/29判決=異教徒間の婚姻を禁止するエジプト法を公序良俗に反するとしてその適用が排除された事案
東京地H02 11/28判決=韓国人と日本人の離婚の際の親権者の指定に共通本国法の韓国法が公序に反するとした事案
東京地S63 05/27判決=在日韓国人夫婦の離婚で親権者指定と財産分与請求に関して公序による日本民法の適用
千葉地S62 09/28判決=前法例施行当時の在日韓国人夫婦(一貫して日本で生活)の離婚に伴う親権者の指定の準拠法
東京地S62 07/24判決=中華民国と米国国籍の妻と英国(香港)国籍の夫の離婚に関して準拠法を公序により日本民法
東京地S59 08/03判決=前法例施行当時の日本に在る日本人妻とブラジルに在る同人夫の離婚訴訟の管轄権と準拠法
東京地S55 10/03判決=前法例施行当時の日本人妻とチリ人夫の離婚訴訟で同法における「共同生活を停止する効力」
東京地S55 02/22判決=前法例施行当時の日本人妻とエチオピア人夫の離婚訴訟で同国法が離婚を認めていない場合
神戸地S54 11/05判決=前法例施行当時のフィリピン人夫と朝鮮人妻の離婚訴訟での公序による日本民法の適用
東京地S53 03/10判決=前法例施行当時のフィリピン人夫と日本人妻の離婚訴訟での離婚を認めないフィリピン法
東京地S50 11/17判決=結婚が破綻した日本人妻とイタリア人夫の離婚で同国離婚法の今後更に5年間の別居の強制
東京地S38 09/06判決=前法例施行当時の裁判離婚を認めないヴェトナム人夫と日本人妻の離婚と親権の準拠法
横浜地S38 04/26判決=前法例施行当時のフィリピン法で離婚が禁止されている場合の 公序による日本法の適用
福岡地S37 06/06判決=朝鮮人夫婦の離婚で韓国民法を準拠法として適用し公序で養育者を元日本人妻とした事案
東京地S35 06/23判決=前法例施行当時フィリピン人夫と日本人妻の離婚で悪意の遺棄が認定された場合の準拠法
東京地S33 07/10判決=前法例施行当時の離婚禁止国フィリピン人夫と日本人妻の離婚における公序による日本法適用
東京家H22 07/15審判=イラン法を公序違反とし子の親権を日本法でイラン国籍の元夫からコロンビア国籍の元妻にした事案
宇都家H19 07/20審判=イラン人夫、日本人妻と未成年イラン人養子縁組で公序によるイラン・イスラム法の排除事案
大津家H12 01/17審判=嫡出子否認申立事件で法例33条によりブラジル民法の適用を排し日本民法を適用した事案
水戸家H11 02/15審判=フィリピン人妻の連れ子を養子にする場合にフィリピン法の保護要件が公序に反するとした事案
神戸家H07 05/10審判=中国法で養親は1人の養子しか縁組できないことを法例33条で排除し2人の養子を認めた事案
横浜家S62 10/30審判=前法例施行当時の日本人妻とイタリア人夫の同国離婚法の離婚判決後の3年の別居事実
那覇家S56 07/31審判=離縁を認めない米国テキサス州法を法例30条により排除して日本民法で離縁を認めた事案


関係先例
R02 06/30民一0960回答=オーストラリア人夫の死後674日の凍結精子による懐胎子の出生届と公序良俗

 

第43条(適用除外) この章の規定は、夫婦、親子その他の親族関係から生ずる扶養の義務については、適用しない。ただし、第39条本文の規定の適用については、この限りでない。
 この章の規定は、遺言の方式については、適用しない。ただし、第38条第2項本文、 第39条本文及び第40条の規定の適用については、この限りでない。

 

法の通則法 第28条(嫡出である子の親子関係の成立) 第29条(嫡出でない子の親子関係の成立)
民法  第730条(親族間の扶け合い) 第752条(同居、協力及び扶助の義務) 第877条(扶養義務者) 第967条(普通の方式による遺言の種類)

扶養準拠
遺言準拠

   附 則

第1条  (施行期日) この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
                  saini-office注 平成18年9月8日政令第289号により施行日は平成19年1月1日

第2条(経過措置) 改正後の法の適用に関する通則法(以下「新法」という。)の規定は、次条の規定による場合を除き、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)前に生じた事項にも適用する。
第3条 施行日前にされた法律行為の当事者の能力については、新法第四条の規定にかかわらず、なお従前の例による。
 施行日前にされた申立てに係る後見開始の審判等及び失踪の宣告については、新法第五条及び第六条の規定にかかわらず、なお従前の例による。
 施行日前にされた法律行為の成立及び効力並びに方式については、新法第8条から第12条までの規定にかかわらず、なお従前の例による。
 施行日前にその原因となる事実が発生した事務管理及び不当利得並びに施行日前に加害行為の結果が発生した不法行為によって生ずる債権の成立及び効力については、新法第 15条から第21条までの規定にかかわらず、なお従前の例による。
 施行日前にされた債権の譲渡の債務者その他の第三者に対する効力については、新法第23条の規定にかかわらず、なお従前の例による。
 施行日前にされた親族関係(改正前の法例第14条から第21条までに規定する親族関係を除く。)についての法律行為の方式については、新法第34条の規定にかかわらず、なお従前の例による。
 施行日前にされた申立てに係る後見人、保佐人又は補助人の選任の審判その他の後見等に関する審判については、新法第35条第2項の規定にかかわらず、なお従前の例による。

 (民法の一部改正)
第四条 民法(明治二十九年法律第八十九号)の一部を次のように改正する。
  第二十三条第二項ただし書中「法例(明治三十一年法律第十号)その他」を削る。

 (手形法の一部改正)
第五条 手形法(昭和七年法律第二十号)の一部を次のように改正する。
  第八十八条中「法律」を「法」に改める。
  第八十九条第一項及び第二項中「法律」を「法」に改め、同条第三項中「日本ノ法律」を「日本法」に改める。
  第九十条、第九十一条、第九十二条第一項、第九十三条及び第九十四条中「法律」を「法」に改める。

 (小切手法の一部改正)
第六条 小切手法(昭和八年法律第五十七号)の一部を次のように改正する。
  第七十六条及び第七十七条中「法律」を「法」に改める。
  第七十八条第一項及び第二項中「法律」を「法」に改め、同条第三項中「日本ノ法律」を「日本法」に改める。
  第七十九条から第八十一条までの規定中「法律」を「法」に改める。

 (遺言の方式の準拠法に関する法律の一部改正)
第七条 遺言の方式の準拠法に関する法律(昭和三十九年法律第百号)の一部を次のように改正する。
  第二条中「法律の一」を「法のいずれか」に改め、同条第二号から第四号までの規定中「法律」を「法」に改める。
  第三条中「法律の一」を「法のいずれか」に改める。
  第六条中「地方」を「地域」に、「法律」を「法」に改める。
  第七条中「法律」を「法」に改め、同条に次の一項を加える。
 2 第二条第三号の規定の適用については、遺言の成立又は死亡の当時における遺言者の住所が知れないときは、遺言者がその当時居所を有した地の法を遺言者がその当時住所を有した地の法とする。

 (扶養義務の準拠法に関する法律の一部改正)
第八条 扶養義務の準拠法に関する法律(昭和六十一年法律第八十四号)の一部を次のように改正する。
  第二条第二項中「適用すべき法律」を「適用すべき法」に、「日本の法律」を「日本法」に改める。
  第三条第一項、第四条第一項、第五条及び第七条中「法律」を「法」に改める。
  第八条第二項中「外国の法律」を「外国法」に改める。

 (民事訴訟法の一部改正)
第九条 民事訴訟法(平成八年法律第百九号)の一部を次のように改正する。
  第三十三条中「日本の法律」を「日本法」に改める。


 

以下の概要、判例・先例等はsaini-officeの解釈によるものです。

 「法例」から改正された主な点は法の適用に関する通則法案要綱」で示されて おり、条文に「法律案要綱」の掲載がされている個所がそれに該当する。
改正の概要
●後見開始等や失踪宣告の国際私法の整備。
●法律行為の準拠法は当事者による選択がない場合は法律行為に最も密接に関係する地の法によるものとする。一方、消費者契約及び労働契約に特例を設定。
●不法行為によって生じた債権の準拠法は加害行為の結果が発生した地の法によるものを原則とし、生産物責任及び名誉又は信用毀損に特例を設定。但し、明らかにより密接な関係がある地がある場合 は例外とする。
●債権の譲渡の債務者その他の第三者に対する効力は、譲渡債権について適用すべき法によるものとする。
●親族(後見を除く)・相続・補則は、条文を平仮名の口語体で改正し、住所地法を廃止した他は基本的な改正はない。